透析医療の今

透析療法の流れ

腎臓は体内の毒素や老廃物の除去、水分の調節といった、生命を維持し、身体の環境を一定に保つ大切な役割を担っており、腎臓に問題が起こると身体中にさまざまな影響がでます。
一度失われた腎臓の機能は、多くの場合は回復することがなく、慢性の腎不全となります。
さらに腎臓の機能が低下し腎不全が進行すると、体の中に老廃物がたまり、尿毒症の症状が現れます。
たまった老廃物を取り除くためには、血液透析(HD)や腹膜透析(PD)といった透析療法、あるいは移植といった腎代替療法が必要になります。

STEP1 腎臓の機能の低下

腎臓の働きが正常の30%以下に低下した状態を腎不全と言い、この状態が続く事を慢性腎不全と言います。

STEP2 保存期治療の開始

腎機能を維持する為に、糖尿病等の原疾患の治療と共に、食事療法・薬物療法・運動の制限を行います。

STEP3 療法選択と透析導入

血液検査結果が悪化し、日常生活が困難となった際に透析を導入する必要があります。血液透析か腹膜透析の療法を選択するか、もしくは腎移植の必要があります。

STEP4 シャント作成(※血液透析を選択)

直接動脈の血を静脈に流れるようにする「シャント」を作る手術をし、血液透析を導入する日時を決定いたします。

STEP5 血液透析導入

透析導入期間は、原則入院が必要となります。外来通院透析ができるようしっかり準備をいたします。

STEP6 外来通院透析開始

血液透析導入後、トラブルが無ければ退院し、外来透析施設にて通院維持透析を行います。

ページの先頭に戻る


血液透析について

腎不全末期となった体にたまった尿毒素(老廃物)や余分な水分は、ダイアライザーを用いた血液透析を行うことでかなり除去されます。

血液透析の働き

ダイアライザー

現在のダイアライザーの大部分は中空繊維型(ホローファイバー)といわれるもので、容器に入った約1万本の極細の繊維管の中に血液を流します。
この管にはミクロの孔(ポア)が無数にあいていて(半透膜)周囲を取り囲む透析液との間で水分の移動、尿毒素(老廃物)や不足している物質(電解質)などの交換をして(拡散・浸透圧・限外ろ過)血液を正常の状態にします。
このダイアライザーが腎臓に近い働きをする人工腎臓といえます。
多くの種類があり、年齢、食事、体重、除水量、血液検査データなどを参考にして、患者さまに最も適したダイアライザーを用います。

ページの先頭に戻る


透析患者さまの傾向

透析患者さまの数は、年々増加しています。
また、主要原疾患は、糖尿病性腎症の割合が増加、平均年齢も高齢化が進んでいます。

透析患者さま数

透析患者さま数

一般社団法人日本透析医学会「図説 わが国の慢性透析療法の現況 2019年12月31日現在」

透析患者さま主要原疾患

透析患者さま主要原疾患

一般社団法人日本透析医学会「図説 わが国の慢性透析療法の現況 2019年12月31日現在」

透析患者さまの年齢と性別

透析患者さまの年齢と性別

一般社団法人日本透析医学会「図説 わが国の慢性透析療法の現況 2019年12月31日現在」